OKITAでお世話になっている作家さん達の紹介とその「作る場所」を紹介する「作る場所を訪ねて」、湯来町の吉野さん、後編です。前回の記事はこちら
一通り敷地内のお家を拝見させて頂いたあとは、いよいよ工房。「作る場所」へ。これまで同様、当然この工房も自作。吉野さん自身で建てています。
製作途中の陶器、長年使い込まれた道具の数々。「工房」と呼ぶに相応しい佇まい。工房の窓からは山を臨む広大な緑。集中力を持続する最適の空間。
こちらはOKITA HOMEモデルハウス「すだち」で使用している吉野綾さん作の急須(きゅうす)。丸いシルエットと柔らかな色彩と尖りの無い素材感が可愛い。
ここで誕生した陶器は、「アトリエ吉野」(広島市佐伯区湯来町大字伏谷1119-51)にて販売しています。この敷地一帯の建物の中に建つ販売店です。湯来町へ向かう際はぜひお立ち寄りをおすすめします。こちらには、吉野さん一家の作品がたくさん置いてあります。
一通り工房(生活用品を作る所も含めて)をご案内頂いたあとは、お家のリビングでお茶を。この一帯の生活空間を手造りした、陶芸家、吉野義隆さんとお話をする機会を頂きました。欧州での生活を経て広島へ来たこと。もともとは関西の出身であること。若いころの作品について、家族について、自身の家づくりについて、などなど。重みのある言葉と非日常的な体験談の数々、興味の尽きない有意義なお時間。
「必要なものがあれば作ればいい」
言葉にすると簡単ですが実践は難しい。まず一人ではできない事が多いことに気づく。協力者がいる。家族の理解もいる。諦めない心もいる。それを長年やり続け、日常にした吉野さん。ここを訪れる人は、皆そんな吉野さんからパワーがもらえる、と言う。
創作家としてここで暮らし、暮らし方そのものがメッセージの発信をしているかの様な、そんな見えない力に包まれ、彩られた、とある山間の集落、湯来町の「アトリエ吉野」。ここは建築に携わり、日々創作と向き合う姿勢を求められる私たちにとって、刺激的であり、かつ穏やさも与えてくれる、大切な場所でした。